REPORT「土佐の植物暦」山好き社員の散策レポート
            「土佐の植物暦」
山好き社員の散策レポート
No.10
            
        
            今年は早々と梅雨入り。雨の日が続きます。自宅から近い南嶺の山並みは厚い雨雲に覆われ、里山の小道や公園の散歩道からしばらく遠ざかると、季節の草花が気になって仕方がありません。
ある雨の朝、傘をさして近所へゴミ出しに行っていると、雨に濡れたアジサイの花がハッとするほど鮮やかに色づいていました。どしゃ降りの雨に打たれても、コロナ禍で世情騒がしくなっても、何があろうと草花は静かに花を咲かせています。
    
            雨の日は家で本を
朝から雨の休日、こんな日はしょうがない。野外はあきらめて「土佐の植物暦」を開きました。6月の頁は知らない花ばかりで、中でもママコノシリヌグイには驚かされました。この名前が可憐な小さい花に似つかわしいとはとても思えません。愛らしいだけに不憫(ふびん)です。
その隣の頁にはドクダミ。薬草として知られており、解説には「毒を抑える意味の『毒矯(ため)』からこの名がついた」とあります。白い花びらに見えるのは、実は「色や形が変わった葉」だそうです。清楚なたたずまいとは裏腹に毒々しい語感にため息が出ます。

名前に思いめぐらす
山野草は名前の由来に思いをめぐらすと、興味が尽きません。本の4月にはヒトリシズカ、5月にフタリシズカ。古風で優雅な名前があるかと思えば、8月にはヘクソカズラ。「茎や葉をちぎったときの臭いにおいからこの名がついた」そう。どこの誰が名づけたのか、あからさまですね。情け容赦ないネーミングには「気の毒」というほかありません。

雨上がる。野外へ
雨が上がり、待ちかねていた野外へ。本で繰り返し見た花のイメージが残っているからでしょうか。写真の花があちこちで目に止まります。ドクダミ、ホタルブクロ、ユキノシタ、ヤマアジサイ、クリ、ノビル。不憫に思ったあのママコノシリヌグイも道ばたで見つけました。茎には触るとチクチクする細かいトゲがびっしり。名前の由来と何か関係があるのでは‥と想像をかきたてます。
こうして本で得たイメージを思い出しながら歩くと、草花の印象はひときわ鮮明になります。「土佐の植物暦」に感謝。
「土佐の植物暦」
山好き社員の散策レポート 
一覧


No.27・最終回(2022年7月)
No.26(2022年6月②)
No.25(2022年6月①)
No.24(2022年5月②)
No.23(2022年5月①)
No.22(2022年4月)
No.21(2022年3月)
No.20(2022年2月)
No.19(2022年1月)
No.18(2021年12月)
No.17(2021年11月)
No.16(2021年10月)
No.15(2021年9月)
No.14(2021年8月)
No.13(2021年7月②)
No.12(2021年7月①)
No.11(2021年6月②)
No.10(2021年6月①)
No.9(2021年5月②)
No.8(2021年5月①)
No.7(2021年4月)
No.6(2021年3月)
No.5(2021年2月)
No.4(2021年1月)
No.3(2020年12月)
No.2(2020年11月)
No.1(2020年9月)




