REPORT「土佐の植物暦」山好き社員の散策レポート
「土佐の植物暦」
山好き社員の散策レポート
No.5
「土佐の植物暦」は2月から始まります。著者の小林史郎さんはその理由を「高知県の春は早く、2月始まりにしました」。同月内では一つひとつの植物を海岸→平地→山地の順に並べています。「そうか、土佐の春は海辺から…」。本を手に春を探しに出かけました。
春を告げる赤紫色
まずは春野へ。地名からして春めいています。自転車をゆっくりこいでいると、海辺に近い樹林で真っ赤な花がいくつも。ヤブツバキだ! 深紅の花が鮮やかな彩りです。
人里を少し離れた畑地で自転車を降りました。あぜ道の向こうに赤紫色が帯状に広がっているのが見えたからです。何だろう?近寄ると、つめ先ほどの小さい花の群落。冬枯れの中でここだけは春です。本を取り出し、2月のページを開くと、掲載順トップ、真っ先に紹介されているホトケノザでした。
早春1丁目1番地
ホトケノザを早春の1丁目1番地とすると、2番地はナズナでしょう。あちこちで赤紫色のかたまりを目にするたびに立ち止まると、傍らにはたいていナズナの白い花も。本の中でもホトケノザと隣り合っています。
早春1丁目にもう一つ、楚々とした佇まいが印象的なコバルトブルーの花が咲いていました。在来種だけでまとめた「土佐の植物暦」には掲載がない外来種、オオイヌノフグリです。はたしてあの場所でも在来種を追いやってしまうのか、気になる光景でした。
春を告げる花はあぜ道や道ばたで何気なく咲いていました。ほかにもヨモギの若葉やフキノトウ、いずれも見逃しそうな春の兆しです。出会えたのはこの本のおかげでしょう。
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