REPORT「土佐の植物暦」山好き社員の散策レポート
「土佐の植物暦」
山好き社員の散策レポート
No.18
季節は晩秋から初冬へ。11月下旬、天気予報が今季一番の冷え込みを伝える中、日高村の錦山へ出かけました。「紅葉の時季は山が錦の織物のように染まる」といわれ、山名の由来になったそうです。
風が冷たい休日のある日、晴天の山は文字通り「錦秋」でした。錦山はドウダンツツジをはじめ蛇紋岩地に特有の植物が多く自生することでも知られています。この時季ならヤナギノギクが見られるかもしれません。
山道に蛇紋岩ゴロゴロ
前回もレポートしたように野菊は多種多様。いつも見分けに困惑します。こんな時は「土佐の植物暦」が頼りです。ヤナギノギクは「長い枝に花ばかりが目立つきゃしゃな植物。細い葉を柳にたとえてこの名がついた」とあります。
目をこらして山道を歩いていると、日当たりが良い道端で見つけました。薄紫色の花、細い葉っぱ、赤みがかった茎は細く、ひょろっとした立ち姿です。山道には光沢のある緑っぽい色の蛇紋岩がゴロゴロありました。
春は「満天星」
真っ赤に紅葉したドウダンツツジはあちこちに。近寄ってよく見ると、細かく枝分かれした小枝に葉が密集しているので樹形そのものが紅色の濃淡になったグラデーションのよう。
ドウダンツツジの漢字名は「満天星」。春には小さい白い花が鈴なりに咲き、その光景を満天の星空にたとえたそうです。幻想的な情景や豊かなイメージを広げてくれます。
ひときわ鮮やかに紅葉したモミジ、スノキも。モミジの大きな木の下で空を見上げれば、木漏れ日も紅葉色に見えます。目を足もとに向けると、枯れ葉なのにつややかなトサミズキや本のサイズより大きいホオノキの朴葉(ほうば)。葉脈がくっきり浮き出て細部まで緻密に描いた絵のような趣があります。
見つけると心がはずむ
柔らかな草地で紫色の花が丸く咲くヤマラッキョウを見つけました。陽光さす道端では、細長い白い花びらの先端がくるっと巻いたコウヤボウキも。本によると「竹の栽培が禁止されていた高野山で、この枝を集めてほうきを作ったことからこの名前がついた」とあります。
紫色のリンドウの花は本の解説通り「つぼみは先が右巻きにねじれてソフトクリームのような形」でした。本に掲載された山野草を見つけたときは心がはずみます。
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