REPORT「土佐の植物暦」山好き社員の散策レポート

「土佐の植物暦」を片手に高知の山や公園を散策してみました!

「土佐の植物暦」
山好き社員の散策レポート
No.19

冬の山野を歩く楽しみは、赤く熟した草木の果実を探すこと。花こそ少なくなっても鮮やかな彩りをあちこちで見ることができます。「土佐の植物暦」でも野原や山林の様々な果実を紹介。フユイチゴ、サネカズラ、カラスウリ、サルトリイバラ、センリョウ、マンリョウ。12月、1月の各ページは真っ赤に熟れた実で満載です。

中でも特異な形状で異彩を放つのはムサシアブミ。実は昨冬も山野を歩くたびに気にかけていましたが、なかなか出会えませんでした。この冬は海に近い里山に見当をつけて探しました。というのも「土佐の植物暦」に「海岸に近い暖地の常緑樹林に生える」とあったからです。

2年越しの探索

ある日、浦戸湾に面する防潮堤近くの山道から尾根筋を辿りました。樹林の間からは朝日に輝く穏やかな海。しばらくして木漏れ日さす南斜面で赤い塊(かたまり)が目に入りました。

鮮やかな紅色。小さな赤い実がトウモロコシのように密集しています。2年越しで探していたムサシアブミでした。本は「果実は有毒。口に入れただけで激痛を引き起こすので、おいしそうに見えても決して食べてはいけない」と警告しています。野鳥など野生動物が口にしないでしょうか。

生き物とのつながり

立ち止まって耳を澄ませば、あちこちから野鳥の声。冬枯れの季節には深紅の彩りはひときわ目を引きます。熟した果実と生き物たちのつながりを思わずにはいられません。山道のあちこちで目にした動物の黒い糞(ふん)に含まれていた多数のつぶつぶ。果実の種のように見えます。

考えてみると、草木の実は野鳥についばまれたり、野生動物に食べられることで種子を運んでもらうわけですから、草木はこの季節、野鳥たちを呼び寄せるために赤い色をまとうのかもしれません。

私たちの生活とも

晩秋から何度か目にしてきたサネカズラは、果実の芯が半ば、むき出しになっていました。本によると、ヒヨドリやメジロが芯のまわりの実を食べていき、冬は芯だけになるそうです。

クチナシの果実も目を引きます。黄色っぽいオレンジ色が明るい雰囲気を漂わせ、角ばった形も印象的です。本には「果実に含まれる黄色の色素は栗きんとんやたくあんなど食品の着色に使われる」。私たちの生活とも深くつながっていることを教えられます。

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