REPORT「土佐の植物暦」山好き社員の散策レポート

「土佐の植物暦」を片手に高知の山や公園を散策してみました!

「土佐の植物暦」
山好き社員の散策レポート
No.17

秋の草花が咲き乱れるこの時季の野原を俳句では「花野」と詠むそうです。俳句をたしなむ知人から教わりました。先ごろ訪れた佐川町の牧野公園は秋晴れの下、多種多様な花に彩られた「花野」のイメージそのものでした。

牧野富太郎博士の古里。この公園には自生の草花だけでなく、牧野博士ゆかりの山野草を地元の人たちが種から苗を育てて植栽。四季折々の山野草を楽しめる公園づくりにボランティアで取り組んでいます。

牧野博士ゆかりの草花

園内には牧野博士が命名した植物が数多く見られます。よく知られているのはジョウロウホトトギス。訪れた日は花の見ごろこそ過ぎていましたが、幸運にもまだ少し花が残っていました。関係者が守り育てている大切な希少種です。

湿っぽい木陰の石垣から垂れ下がった茎につり鐘形の濃い黄色の花。上品で優雅なたたずまいです。牧野博士が横倉山で見つけ、いにしえの時代に宮中で仕えた貴婦人「上臈(じょうろう)」になぞらえた和名だそうです。

秋の七草も

秋の七草、オミナエシやフジバカマ、ナデシコも。ジョウロウホトトギスと同じユリ科のホトトギスもありました。やっぱり花びらに同様の斑点があります。

花だけでなく、ルリミノキの果実が文字通り瑠璃(るり)色に熟していました。「土佐の植物暦」では11月掲載。陽光が届きにくい常緑樹林の中に生えていますが、木漏れ日が果実に当たると光沢豊かに美しく輝きます。

野菊の多様さに困惑

牧野公園に限らず、道ばたや空き地で初秋から晩秋までよく目にするのは「野菊」です。正直なところ、キク科の山野草は似た花が多くあり、名前の特定に困惑します。ひと口に「野菊」と片付けてきたのですが‥。

さすがに「土佐の植物暦」はていねいに仕分けています。9月暦でアキノノゲシ、オグルマ、10月暦ではケシロヨメナ、オオユウガギク、ヤクシソウ、ヤナギノギクなどを紹介。11月暦でもシオギク、ノジギク、ツワブキ、リュウノウギク、シマカンギクなど多彩です。葉の形、茎や葉に生える毛、茎や葉をちぎったときの香りなど、解説文には名前を特定する手がかりが詳細に紹介されています。

「花野」を吟行するときや山歩きの心強い友になりそうです。

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