REPORT「土佐の植物暦」山好き社員の散策レポート
「土佐の植物暦」
山好き社員の散策レポート
No.16
秋分が過ぎ、日ごと秋めいてきました。大気は澄み、晴れわたる青空はどこまでも高く感じます。「土佐の植物暦」を手に里山を散策するときは、道ばたや足もと、下を向いて歩くことがほとんどですが、先日、ふと空を見上げると、たわわに実ったアキグミが目に入りました。
本では11月暦で紹介。「皮は渋いが、たまに渋みが少なく生で食べてもおいしい木がある」。思わず手が伸びそうになりましたが、お楽しみは先に取っておこう。もっと赤く熟れるまで待つことにしました。
実りの季節
実りの季節ですね。この本では草木の開花から果実まで植物の四季の営みを丹念に追っています。例えば10月暦掲載のクサギ。夏には枝先に白い花を数多く咲かせ、赤い萼(がく)とのコントラストが印象的な夏の花です。
それがどうでしょう、秋になると様相が一変。赤い萼は星形に開き、深い真紅色に染まっていました。その真ん中に付いた果実は光沢がある濃い藍色。秋を感じさせる深い色合いが存在感を放っています。
果実集めて枕に
海岸の砂浜に群生するハマゴウも夏の装いから秋色へ。青紫色の花が照りつける夏の陽光に映えていましたが、今、花の跡には小さな実が枝先にかたまっています。目を凝らすと黒く熟成した果実の株も。本には「乾いた果実を集めて枕の詰め物に使う」とありました。
年輩の人に聞くと、ほのかな香りがあり、かつては高知市の日曜市で果実を売っていたと言います。こんな枕で眠ると、どんな夢をみるのでしょうか。
実の枝でリース飾り
クリ、アケビ。よく知られた秋の味覚ですが、この本を手にするまでどんな花を咲かせ、季節はいつなのか、無関心でした。クリの花は6月、アケビは4月、この本で知りました。そして、見慣れた草花でも四季を通して見守ると楽しみ方が広がることも。
夏には空き地や道ばたで、つるを草木に巻きつけて白い花を咲かせていたへクソカズラも青い果実を付けています。可憐な花なのにこのネーミングはかわいそうと思っていましたが、花好き仲間が言うには「実の付いた枝でリースを作って飾る」。なんだか救われたような、ホッとする話です。
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