REPORT「土佐の植物暦」山好き社員の散策レポート
「土佐の植物暦」
山好き社員の散策レポート
No.24
5月の野山は花ざかり。白いノイバラや青紫のコバノタツナミ、深紅のツツジも咲き誇っています。このレポートを始めて2度目の初夏を迎えました。四季折々の山野草に出会い、いつしか頭の中に私だけの「植物地図」が描かれています。
あの尾根にはあの花、あの木は秋に実が熟し、冬には繊毛をまとった冬芽。水田のあぜ道、丘の畑、当初は身近な里山でしたが、やがて遠く離れた嶺北の高山にも少しずつ地図を広げてきました。
再訪にワクワク
昨年12月、海に近い林で忘れられない出会いがありました。「土佐の植物暦」では真っ赤な果実が紹介されているムサシアブミです。トウモロコシのような実が林床からニョキ。その姿は、花の季節にもう一度来てみようと思わせるほど印象的でした。
5月初め、ワクワクしながら再訪しました。迷わず辿り着いてひと目見るなり、ウワッ! 大きな葉の下で、まるで蛇が鎌首をもたげているように見えます。どれが花?めしべは?おしべは?
異形の花
「土佐の植物暦」では、ムサシアブミと同じサトイモ科、ユキモチソウの花を紹介しています。サトイモ科に特有な棒状の花穂があり、これを包む筒が開いた先に「仏炎苞(ぶつえんほう)」。これは葉が特殊化したものだそうです。「蛇の鎌首」はきっとこれの変形でしょうね。
ユキモチソウは私の「植物地図」にはなかったのですが、花好きの知り合いから「白木谷で見たよ」と教えてもらい、早速出かけて撮ったのがこの写真です。どちらも異形の花です。
森の妖精
連休のある日、同じ団地に住む別の花好きからは「ギンリョウソウを見つけました」。その人も私も長年にわたって同じ山へ、同じ道から登っているのですが、今まで気づいていませんでした。
全身真っ白で半透明。一見、キノコ類に見えますが、れっきとした植物です。「土佐の植物暦」によると、地中の菌類から栄養を吸収しているそうです。先端に咲く花はうつむいたように下向き。のぞき込むと紫色のめしべが見えます。
昨年5月、遠くまで出かけた山で初めてこの花に出会ったとき、一緒にいた仲間は驚いたように「森の妖精みたい」。しゃがみ込んでしばらく見入っていました。
分かち合う幸せ
そんな花を身近な山で発見。私の「植物地図」に特筆の書き込みが加わりました。何よりもうれしいのは、山野草でつながった人たちと心ふるえるような発見や驚きを分かち合えることです。
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