REPORT「土佐の植物暦」山好き社員の散策レポート
「土佐の植物暦」
山好き社員の散策レポート
No.25
気がつけばもう初夏。近所の空き地や塀の隙間、いたる所でドクダミを目にする季節になりました。身近な薬草として知られていますが、鑑賞用に栽培された八重咲きのドクダミもあるのですね。幾重もの純白の装いが優美です。
卯の花
山へ行くとウツギが花盛り。新緑の木々に白い小さな花が重なり合って咲いています。ウツギは古くから「卯(う)の花」と呼ばれてきたことを最近になって知りました。
ある日、花好きのご夫婦とウツギが話題になったとき、「ああ、卯の花の季節ですね」と、期せずして二人が歌を口ずさむではありませんか。
「夏は来ぬ」
♪卯の花の匂う垣根にホトトギス~♪、唱歌「夏は来ぬ」。小学校でよく唄ったそうです。卯月(うづき)に花咲くから卯の花。旧暦の卯月は新暦では概ね5月です。ウツギは古来、初夏の訪れを告げる花だったのでしょうね。
「土佐の植物暦」は5月暦でウツギ、マルバウツギ、コゴメウツギ、コツクバネウツギ、コガクウツギ、ヒメウツギを紹介。ウツギの名前の由来は、枝の中がストロー状の空洞になっていることから「空木(ウツギ)」。山で拾ったウツギの枯れ木を折って見ると、そうなっていました。
山の田植え
♪五月雨(さみだれ)の注ぐ山田に~♫。「夏は来ぬ」の2番はそんな歌詞で始まり、♫玉苗植うる 夏は来ぬ♪ と田植えの光景を詠っています。先日、山間部に実家がある友人が田植えの手伝いに帰り、ハコネウツギの写真を送ってくれました。
樹高おおよそ2m。田植えが進む水田のあぜ道で独り、すっくと立っているそうです。「1本の木に白とピンクの花が鈴なりだった」
紅白の花
ハコネウツギの自生地は本来、伊豆半島周辺の東海から関東の沿岸部に限られていたようですが、栽培品が各地で野生化したそうです。紅白の花が好まれたのでしょうね。
友人の実家では苗代づくりや田植えに家族、親族が集まって総出の農作業。そんな時季に花咲き、山里の農耕の始まりを彩り豊かに祝祭しているのでしょうか。
個性豊かに
それにしてもウツギと名が付く木は多種多様です。「土佐の植物暦」ではアジサイ科、バラ科、スイカズラ科に分類。実際の野山でも、花の姿形はもちろん葉っぱの形、手触りもそれぞれが個性豊かに生きていました。
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