REPORT「土佐の植物暦」山好き社員の散策レポート
「土佐の植物暦」
山好き社員の散策レポート
No.15
日中の暑さが和らぎ、早朝はヒンヤリしてきました。朝の涼しいうちに近くの里山へ。草原を歩くと靴や足もとがびっしょり濡れました。空は晴天、夜来の雨もなかったのに‥。
しゃがむと辺り一面の草に朝露が付いていました。葉の表面で水玉状になった露や、霧吹きで吹きかけたような細かな露も。陽光がさすと白く光って見えます。
そういえば、この時季は「白露(はくろ)」とも。涼やかな語感が初秋のイメージを想わせます。
朝露に覆われて
朝露で濡れた草むらに鮮やかなコバルトブルーの花がひときわ目につきました。ツユクサです。花びらは2枚に見えますが、「土佐の植物暦」によると、白く小さい花びらがもう1枚―。よく見ると確かにありました。長く伸びた雄しべの下に隠れるようについています。
遠い記憶をたどると、小学校でツユクサの花の絞り汁からブルーの色水を作った実験を思い出します。ツユクサは古来、「つきくさ」とも呼ばれ、染め物の下絵を描く染料にも使われてきたそうです。

夏の名残と秋の気配
野山に初秋の気配が漂いはじめましたが、夏の名残もあちこちに。センニンソウやコガンピ、ノリウツギ、本では8月暦掲載の花がまだまだ咲いています。センニンソウは夏を惜しむように甘い香りを放っています。
その一方でマルバヤハズソウ、マルバハギ、ノアズキ、ツルボ、シシウドなど初秋を感じさせる9月暦の草花も。過ぎゆく夏と、少し遠慮がちな小さい秋が重なりながら、季節はゆっくりと移ろっています。

優雅なたたずまい
嶺北で偶然みつけたシシウドには目を見張りました。車がやっと通れる山道に入ると、森閑とした木立のはずれで人の背丈ほどの凜(りん)とした立ち姿。茎の先端に多数の白い花が日傘のように広がっています。
近寄ると、花の枝が放射状に伸び、白いレースの編み物を広げたようです。薄緑色の袋状の葉は「つぼみ」を包んでいるのだと、帰宅後に本で知りました。
小さな袋がやがて生み出す優雅なたたずまい。本を繰りながら、あらためて豊かな気持ちにしてくれました。
「土佐の植物暦」
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